NTT西日本大阪病院
研修医について

選択科目の概要

放射線治療科

1.基本理念と特徴
放射線治療科は他の多くの科と異なり、特定の臓器に限定した診療ではなく全身のがんに対して横断的に診断から治療までを行う科である。放射線治療に関連した生物学、物理学、化学の知識だけでなく、手術療法、化学療法など他のがん治療法も十分に理解した上で、患者さんにとって最善の治療を組み立てる能力が要求される。研修医の先生方が最終的に放射線、手術、化学療法などいずれのモダリティを専門として選択されるにしても、がん治療医をめざす人にとってはがんの放射線治療の研修を受けることは有意義であると考えられる。
2.研修内容
放射線治療の有用性の高いがんを中心に、初診からインフォームドコンセント、コンピュータを使った治療計画、照射期間中の診察と急性期有害事象の評価、画像による一次効果判定、治療終了後のfollow-up診察によるがんの治癒過程の確認と晩期有害事象の評価まで一貫して参加する。根治と緩和の両方の目的に対して、放射線治療を優先的に実施すべき状態を理解する一方で限界も正しく理解し、過不足ない適応判断ができる感覚を養う。関連学会に参加して、がん治療医としておさえておくべきエビデンスに習熟するとともに、将来普及が見込まれる最新の放射線治療技術についても学ぶ。
3.経験目標

(1)基本的な診察法の習得

問診、治療に関連した病歴の聴取、画像・検査データの解釈と自覚症状・理学的所見との関連づけ、根拠に基づいた病状説明と患者が納得できるインフォームドコンセント、論理的なカルテの記載

(2)がんの理学的所見・基本的検査

がんとリンパ節転移の視触診、肺病変の聴診、脳神経所見の取得、頭頸部ファイバースコープ検査

(3)がんの画像診断とステージング・治療効果判定

CT, MRI, 骨シンチ, PET-CT画像によるがんの病期診断、UICC基準による主ながんのステージング、WHO・RECIST基準による治療効果判定と経過画像の解釈

(4)放射線生物学

生体の放射線に対する反応の背景にある細胞生物学、分子生物学的事象の理解

(5)放射線物理学

放射線の種類と特性、電離放射線が物質に与える影響、治療装置の原理と運用の理解

(6)コンピュータを用いた放射線治療計画の作成

ICRU-50/62に基づくターゲットボリュームとリスク臓器の同定、標準的照射法としての3DCRTと高精度照射法としてのSRT、IMRTの理解、実際の患者データを用いたビーム配置と空間線量分布計算

(7)放射線治療による有害事象

NCI-CTC基準とLENT-SOMA基準による急性期と晩期の有害事象のグレード評価とその対処

(8)再発・死亡イベントの確認と治療成績の算出

無再発生存と再発の鑑別、原病死と他病死の鑑別、Kaplan-Meier法による生存率曲線の算出と予後因子の解析、臨床データから得られたエビデンスの実地臨床へのフィードバック

(9)習得すべき疾患

頭頸部がん、乳がん、肺がん、食道がん、悪性リンパ腫、前立腺がん、膀胱尿管がん、直腸がん、肝胆膵がん、婦人科がん、整形外科腫瘍、骨転移、脳転移、リンパ節転移、肺転移、肝転移 など

(10)その他

放射線治療科関連の院内カンファレンスへの参加 関連学会や研究会、講演会への参加

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