NTT西日本大阪病院
診療のご案内
消化器外科からのお知らせ
つい最近、ある大学病院で行われた腹腔鏡下手術が高い死亡率を伴い、さらには亡くなった患者様が癌といわれて切除された病変が、実は良性疾患と判明したことをご遺族に隠していたなど、信じがたいニュースが新聞を賑わせました。このような報道をお聞きになれば、ご自身やご家族がこれから腹腔鏡下手術をお受けになる方はもちろん、すでに受けたことがある方も強い不安を抱かれたのではないかと思います。腹腔鏡下手術を優れた治療手段と考え患者様にお勧めしている立場から、当院消化器外科の考え方をお伝えします。
 そもそも多くの手術が腹腔鏡を用いて行われるようになった理由は何でしょう?それはおなかを大きく切る開腹手術と比べて傷の痛みや出血が少ない、入院期間が短く社会復帰が早いなど体に優しい手術であること、それでいて根治性や安全性は同等であることがわかってきたからです。腹腔鏡下手術は体に優しい素晴らしい治療手段ですが、間違えてはいけないのは、生存率や無再発率といった治療成績を伸ばすわけではなく、病気や患者様の体の状況、施設の成熟度によっては常に安全だとは限らない、ということです。ですから、むしろ開腹手術のほうが安全確実と判断した場合は選択すべきではないのです。では、どのような施設のどんな外科医がどのように適応を決めて腹腔鏡下手術を行なっているのでしょうか?保険で認められていれば誰でもやってよいのでしょうか?このことに関して明確な基準や資格は無く、各施設の各々の外科医の判断に負うところが大きいのです。
私達の腹腔鏡下手術に関するポリシー
  • 確立された手術法を用いる
  • 臨床試験などにより、腹腔鏡下手術で治療するメリットや安全性が示された疾患に対して、確立された手術法を用いることが原則です。
    つまり、普通に安全にできる手術として定着した腹腔鏡下手術を行うということです。
  • 十分に知識と経験がある手術法
  • 当院のスタッフのみで行う手術は十分に知識と経験があるものに限ります。
    一定の症例数に達するまでは、院外から経験の多い先生に来ていただくか、他の施設に見学に行き、特にがんの腹腔鏡下手術は、最初は早期がんのみを対象にするなど、慎重に適応を拡大してきました。
  • 開腹手術への移行
  • 腹腔鏡で開始しても、途中で開腹手術に変更した方が良いと判断した場合は、躊躇することなく、開腹手術に切り替えます。
    このことは、すべての腹腔鏡下手術の術前に説明させていただきます。
  • 術前カンファレンスによる安全性の検討
  • 術前カンファレンスにおいて、疾患の重症度・患者さんの身体状況・手術法選択の妥当性などを消化器外科のスタッフ全員で検討しています。
    その結果、腹腔鏡下手術から開腹手術に方針がかわることもあります。
患者様に見せることのできる手術を −腹腔鏡下手術のビデオ説明−
最近私たちは、患者様に病気と手術をより深く理解して頂くことを期待して、腹腔鏡下手術のビデオ説明を行う試みを開始しました。

説明を希望される患者様ご本人が対象で、その方の手術を録画したビデオを用い、主要な場面をお見せしながら10分程度で説明するものです。ビデオ説明の後には簡単なアンケートにご協力いただいています。現在は大腸癌、胆石症、鼠径ヘルニアのビデオ説明を行っていますが、患者様からは概ねご好評をいただいているようです。
以上、私たちの腹腔鏡下手術に対する考え方をご説明しました。今後も腹腔鏡下手術の低侵襲な良い部分を安全にご提供し、手術の様子を患者様に自信を持ってご説明できるように心がけてゆきます。患者の皆様はどうか安心して手術をお受けになってください。

審査 15-303-1