NTT西日本大阪病院
乳がん
乳がん手術説明
治療法の選択について
乳がんの治療は時代とともに大きく変わっています。当科では乳がんに関する情報を患者さんにお伝えして正しく理解していただいた上で、よりよい生活を送っていただけるよう患者さんとともに治療法を選択することにしています。
乳がんの治療法としては現在のところ、
  • 手術
  • 化学療法(抗がん剤)
  • ホルモン治療
  • 放射線療法
  • 分子標的治療薬
があり、これらを単独あるいは組み合わせて治療を行います。患者さんの年齢症状などを考慮して組み合わせがかわります。
術前療法について
乳房温存療法を希望される方で、腫瘍径が大きく、このままでは乳房温存療法できない方、このまま手術しても術後に必ず化学療法が必要であると予想される方には、術前化学療法を行い、手術する方法があります。腫瘍を小さくして温存療法を目標とするだけでなく、術前化学療法に用いた薬が有効であるかどうかが、わかる利点があります。薬剤の奏効率は70〜80%と報告されています。
手術方法
手術方法は、乳房に対する手術と腋窩リンパ節に対する手術の組み合わせになります。
乳房に対する手術
切除の方法として、大きく分けて乳房切除術、乳房温存療法の2つがあります。
  • 乳房切除術:乳房をすべて切除します。
  • 乳房温存療法:乳腺の一部と腋窩リンパ節を切除します。当科では切除部分の欠損を残った乳腺や周囲の脂肪で補うことで変形を少なくするような工夫をしています。乳頭を切除して乳房を温存することがあります。
長所
  • 乳房切除に比べて美容的にすぐれています。しかし、患者さんによっては反対側の乳房に比べて変形が目立つことがあります。
  • 遠隔再発(肺・骨・肝臓に転移)する率は乳房切除術とおなじです。生存率もかわりません。
腋窩リンパ節に対する手術
  • 腋窩リンパ節郭清術:腫瘍の大きい方(3cm以上)、触診、画像検査(CT、MRI、超音波)で腋窩リンパ節に転移が疑われる方、腋窩リンパ節郭清を希望される方は、腋窩リンパ節郭清(きれいに全部取ってくる)をうけていただきます。
  • センチネルリンパ節生検:乳がんが、最初に転移するリンパ節をセンチネルリンパ節と呼んでいます。色素または放射性同位元素を乳腺に注射し、色素に染まったリンパ節、または、放射活性の高いリンパ節がセンチネルリンパ節であるとされています。この、リンパ節を同定し、摘出、手術中に転移が無いかどうか調べ、転移がなければ、リンパ節をそれ以上取る必要がないとされています。センチネルリンパ節に転移がなく、腋窩のリンパ節を全部とらなくて済んだ場合、上肢のむくみ、腋窩の疼痛、肩関節の運動制限などが手術による合併症が軽減されます。(ゼロではありません。)
乳房再建について
乳房再建にはⅠ期的再建とⅡ期的再建があります。
Ⅰ期的再建は乳がんの手術時に乳房を再建する方法です。Ⅱ期的再建は乳房の手術時にティシュイクスパンダー(組織を広げる風船みたいなもので、はじめは少しだけ水を入れておき、徐々に追加して皮膚をひろげる器具です。一時的なものです。)を挿入しておき、ある程度期間をおいてから、最終的にティシュイクスパンダーを取り出し、なんらかのもので乳房をつくる方法です。当院では形成外科がありませんので、残念ながらⅠ期的再建はできません。希望される方はできる病院を紹介いたします。
Ⅱ期的再建は当院でも行っています。2回目の乳房の形成は、再建のプロである形成外科の先生にお願いしています。再建希望される方は申し出てください。
ホルモン剤
ホルモン剤には大きく分けて3種類があります。どれを使用するかは、術後補助療法で行う場合は、閉経状況、腫瘍の性質、stageによって決まります。再発時に使用する場合は、個々のケースによってかわります。
■抗エストロゲン剤(ノルバデックス(タモキシフェン)、フェアストン(トレミフェン))
 抗エストロゲン剤は、がん細胞にホルモンが結合するのを抑え、乳がんの再発を抑えます。
■LH-RH agonist(ゾラデックス、リュープリン)
 女性ホルモンは、視床下部(脳の一部)、下垂体、卵巣へと順に命令する物質(これもホルモンです)が分泌されて卵巣で作られます。この経路のうち、下垂体に働いて、下垂体から卵巣に指令するホルモンの分泌をなくするのが、この薬です。
■アロマターゼ阻害剤(アリミデックス、アロマシン、フェマーラ)
 閉経前は、女性ホルモンは卵巣で主に作られます。年齢が進むと、卵巣機能が衰え、閉経となり、女性ホルモンは、脂肪組織、副腎、乳がんの患者さんはがん細胞、で作られるようになります。女性ホルモンを作るときに重要な酵素としてアロマターゼがあります。アロマターゼ阻害剤は、この酵素の働きをブロックして女性ホルモンを作るのを抑え、乳がんの再発を抑えます。
抗がん剤
補助療法(手術後予防的に行う治療)で行う場合は、抗がん剤の選択は、年齢、腫瘍の性質、stageによって決まります。再発して使用する時の選択は、効果、病状、副作用を見極めて、患者さんと相談して決定しています。
手術成績
乳がんは比較的予後の良いがんです。再発する方は、30〜40%です。再発する方の70%は、術後5年までに再発し、25%の方は術後6〜10年の間に再発し、5%の方は、11年以降に再発するといわれています。それで、一般のがんは、5年で治癒とみなしますが、乳がんは10年を一応の一区切りとしています。以下は当院における1987年から2007年までの1117例の術後治療成績です。
ステージ別生存率
ステージ別無再発生存率
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審査 11-3606-1