日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺、以下NTT)、西日本電信電話株式会社(大阪市中央区、代表取締役社長:森下 俊三、以下NTT西日本)、NTTコミュニケーションズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:和才
博美、以下NTT Com)、TOHOシネマズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:村上 主税、以下TOHOシネマズ)、株式会社宝塚クリエイティブアーツ(兵庫県宝塚市、代表取締役社長: 、以下TCA)の5社は、映画館を中心とした複数の大型スクリーン施設向けに、様々なライブ系高精細映像コンテンツを光ネットワークで配信・上映し、技術評価及びビジネス性の検証を行うことを目的とした「ODS(オンライン・デジタル・ソース)に関する共同トライアル」(以下、本トライアル)の取り組みを実施します。
この度、平成19年12月24日(月・祝)公演の「宝塚歌劇 花組公演 東京宝塚劇場千秋楽」を光ネットワークでオンライン化したデジタル上映拠点(全国7ヶ所の映画館)へライブ配信することが決定しました。
従来からSD品質(※1)(地上アナログ放送の品質クラス)による宝塚歌劇の衛星ライブ配信は行われてきましたが、今回のように光ネットワークを活用してHD品質(※2)(地上デジタル放送の3〜4倍クラス以上)の高画質映像を複数の商業用映画館にライブ配信する試みは、国内初の取り組みとなります。
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「ODS」とは、アメリカの映画興行主組合(NATO)において提唱された「映画以外のデジタルコンテンツ(Other Digital Stuff/Online Digital Source)」の映画館上映という概念を指し、ネットワークによりオンライン化された映画館に映画以外のデジタルコンテンツを配信し、映画館のデジタル設備で上映することにより映画館を総合的なエンタテインメント施設とする概念です。また、コンテンツ・ホルダー側からみると、映画館という集客力のある施設でのイベント上映等の新しいビジネス機会創出につながるという試みのことを指します。 |
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1. |
ODS(オンライン・デジタル・ソース)に関する共同トライアルについて |
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 | (1)取り組みの背景と目的 |
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現在、映画館ではデジタル上映設備の導入が加速しており、それに合わせてODS上映実現に向け、世界的に様々な方面で検討が開始されています。これは、例えばコンサート、ミュージカル、演劇、ゲームそしてワールドカップサッカーをはじめとするスポーツ等のエンタテインメントコンテンツを、デジタル上映設備を保有する劇場向けにライブ配信することで、映画館を映画のみならず幅広い総合映像エンタテインメント施設として提供できるのではないかという考えに基づいた取り組みです。また、ODSに関するビジネスは、演劇やスポーツ等を主催するコンテンツ・ホルダー側にとっても、集客力のある映画館での上映によって新たなビジネス効果が見込まれ、今後のビジネス展開に大きな期待が寄せられています。
こうした背景を踏まえ、光ネットワークによる高度な映像配信技術を保有するNTT、NTT西日本、NTT Com、映画興行会社のTOHOシネマズ、コンテンツ提供会社のTCA、各社の合意により、平成19年9月から本トライアルの検討を開始し、この度、平成19年12月24日(月・祝)に東京宝塚劇場で上演される「宝塚歌劇 花組公演 東京宝塚劇場千秋楽」を、TOHOシネマズ系列映画館(全国7会場)へ、光ネットワークライブ配信し、ODSの商用化に向けた先行的なビジネス検証を実施することになりました。 |
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(2)今回の取り組みの概要 |
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今回の取り組みでは、東京宝塚劇場とTOHOシネマズの7会場(日比谷スカラ座、日劇PLEX、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマ メディアージュ、TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば)を100Mbps以上の高速な光ネットワークを利用して、東京宝塚劇場で上演されている、華やかな舞台衣装に彩られた宝塚歌劇の映像・音声をHD品質(MPEG50Mbps相当以上)による多地点ライブ配信することで、IPマルチキャスト配信の技術検証を行う他、シネマ メディアージュにおいては、NTTの研究所で開発されたJPEG2000-IPストリーミング技術(※3)による、HD素材のテープ記録と同程度のビットレート(約300Mbps)でのライブ配信検証を行います。
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ライブ配信の構成については、【別紙1】をご参照ください。 |
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○実施日 |
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平成19年12月24日(月・祝) |
○検証内容 |
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技術検証(光ネットワークを利用した高精細映像の多地点IPマルチキャスト配信、JPEG2000-IP
ストリーミング配信) |
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商用化に向けたサービス品質、スキームの検証、評価 |
○トライアルパートナー5社の主な役割 |
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NTT |
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映像中継機器(高精細映像機器)の提供、技術支援 |
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NTT西日本 |
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大阪エリアでの光ネットワーク(LAN型通信網サービス)及び周辺機器の提供 |
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NTT Com |
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東京エリア及び東京−大阪−名古屋間の光ネットワーク(専用線サービス等)の提供、通信機器の提供 |
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TOHOシネマズ |
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上映映画館(TOHOシネマズ)の提供 |
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TCA |
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コンテンツ(宝塚歌劇)の提供 |
○トライアルパートナー5社の期待する主な効果 |
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NTT |
: |
先端映像技術の検証・評価、次世代映像伝送サービスの開発 |
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NTT西日本 |
: |
高速広帯域IPマルチキャストネットワーク技術評価 |
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NTT Com |
: |
ODSにおけるネットワークおよびSIビジネスの検討 |
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TOHOシネマズ |
: |
映画以外のコンテンツ上映による集客効果 |
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・ |
TCA |
: |
コンテンツ上映場所・機会の増加による新たなビジネス創出 |
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2.ライブ配信作品について |
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○公演作品 |
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宝塚歌劇 花組公演 東京宝塚劇場千秋楽(詳細は、【別紙2】をご参照ください) |
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ミュージカル・ピカレスク『アデュー・マルセイユ』 −マルセイユへ愛を込めて− |
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グランド・レビュー『ラブ・シンフォニー』 |
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春野寿美礼サヨナラショー |
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○公演日程 |
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平成19年12月24日(月・祝) |
○開演時間 |
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13:30 |
○中継元会場 |
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東京宝塚劇場 |
○中継先会場 |
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全国7映画館(下記参照) |
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【東京エリア】 |
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日比谷スカラ座
(東京都千代田区有楽町1-1-3
東京宝塚ビル) |
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日劇PLEX
(東京都千代田区有楽町2-5-1
有楽町マリオン9、11F) |
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TOHOシネマズ六本木ヒルズ
(東京都港区六本木6-10-2
六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内) |
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シネマ メディアージュ
(東京都港区台場1-7-1
アクアシティお台場内メディアージュ) |
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 | 【名古屋エリア】 |
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TOHOシネマズ名古屋ベイシティ
(愛知県名古屋市港区品川町2-1-6
イオン名古屋みなとベイシティ) |
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 | 【大阪エリア】 |
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TOHOシネマズ梅田
(大阪府大阪市北区角田町7-10
HEP NAVIO8F) |
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TOHOシネマズなんば
(大阪府大阪市中央区難波3-8-9
東宝南街ビル8〜11F) |
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上映スクリーン、アクセス等の詳細は各映画館WEBサイトをご参照下さい。 |
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3.今後の予定 |
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日本国内のみならず、世界的にODSすなわち高品質・大容量コンテンツの流通に向けた様々な取り組みが検討されています。このような中、大型スクリーンでの視聴に十分耐えうる高ビットレートのHD伝送に光ネットワークを用いた実用化レベルの本トライアルは、新たなODSビジネスの発展と振興に、また今後のブロードバンドネットワーク時代における次世代映像伝送サービスの開発へ大きく寄与します。
本トライアルを通じ、NTTグループ各社は高品質・大容量デジタルコンテンツを流通させるネットワークインフラやサービスの開発・提供に向けた検討を、TOHOシネマズはODS上映による集客効果の追求を、TCAはコンテンツ上映場所や機会の増加による新たなビジネス創出の検討を進めていく予定です。また、将来的にはNGN(次世代ネットワーク)を利用したライブ配信展開の可能性も検討して行く予定です。 |
(※1) |
SD品質 |
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Standard Definition(標準解像度)、「480i」と「480p」、現行の地上アナログ放送やDVDの品質。
数字の部分が縦方向の画面解像度、iとpが「インターレース走査」と「プログレッシブ走査」を意味する。
一般的なSD品質の映像は横640×縦480ピクセルで構成されている。 |
(※2) |
HD品質 |
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High Definition(高解像度)の略。「720p」、「1080i」以上、いわゆる高精細テレビ(HDTV、ハイビジョン)の品質。
数字の部分が縦方向の画面解像度、iとpが「インターレース走査」と「プログレッシブ走査」を意味する。
今回のライブ配信は映像フォーマット横1920×縦1080ピクセル、フレームレート30fpsでの中継となる。
映像データ圧縮方式にはMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)を採用。
HD品質の中でも、通常デジタルハイビジョンで放送されているBSデジタル(衛星放送)やCSデジタルの画質は伝送レートに依存し20Mbps程度、また、地上波デジタルハイビジョン放送は14Mbps程度である。
今回のトライアルでは50Mbpsの伝送レートで実現する。 |
(※3) |
JPEG2000-IPストリーミング技術 |
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JPEG2000は、1画面(フレーム)単位でデジタル情報量を減らす圧縮符号化方式。フレーム間の相関を用いるMPEGに比べて圧縮率は低いが品質に優れている。JPEG2000-IPストリーミング技術は、JPEG2000で圧縮符号化された映像を、インターネット・プロトコル(IP)を用いて配信する技術。尚、本技術は、総務省受託研究「次世代型映像コンテンツ制作・流通支援技術の研究開発」」の成果の一部を活用。 |
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