平成17年9月13日
(報道発表資料)
西日本電信電話株式会社
株式会社エヌ・ティ・ティ・カードソリューション


生体認証に対応したICカードシステム
「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」の
提供開始について



 西日本電信電話株式会社(本社:大阪市中央区馬場町、代表取締役社長:森下俊三、以下NTT西日本)と株式会社エヌ・ティ・ティ・カードソリューション(本社:東京都港区南青山、代表取締役社長:里木 勇、以下NTT−CS)は、昨今の情報漏えい・個人情報保護対策として注目を集めている生体認証(バイオメトリクス)の技術と、NTTサービスインテグレーション基盤研究所が開発したICカード「ELWISE−CARD※1」を組み合わせた「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」を、平成17年9月14日(水)より提供開始します。
 本システムを導入することで、複数拠点をネットワークで結んで構築・運用している業務システムなどに、ログインする際の認証を強化することが可能です。両社は、それぞれが本システムの販売を行うほか、NTT西日本は、本システムのネットワーク(LAN/WAN)の設計・構築及び本システムの保守、運用、NTT−CSは、本システムに関わる機器の調達、カード設計・発行業務の実施を行います。
 なお、NTT西日本では、今秋を目途に本システムを情報漏えい対策の一環として、NTT西日本及びNTT西日本のグループ会社が利用する顧客情報系システムに導入し、情報セキュリティの強化を図ってまいります。


1.背景
 近年、IT化やブロードバンド化が急速に進展し、企業や自治体の情報漏えい事件が多発する中、平成17年4月1日より個人情報保護法が本格施行となり、情報セキュリティ対策に不安を抱える企業・自治体は、対策を講じることが急務となっています。
 これまでNTT西日本は、平成15年11月に「セキュリティサービス推進室※2」を設置するなど、セキュリティポリシーの策定やセキュリティ監査、不正アクセス対策等の「トータルセキュリティサービス」を提供してきました。
 また、NTT−CSは、NTTグループにおけるカードビジネスの中核会社として、ICカードの製造・発行・アプリケーション開発等のノウハウを元に、入退室システム、企業内電子決済システム、ICカードを利用したPCセキュリティシステムや社員証システム、勤務管理システムなどのカードビジネスソリューションを提供してきました。
 このような背景を踏まえて、この度NTT西日本とNTT−CSはよりセキュリティの高い認証方式を採用した「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」を共同で開発しました。


2.「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」の概要
 「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」は、認証技術において優れたアルゴリズム「周波数解析法」を有している株式会社ディー・ディー・エス※3(本社:愛知県名古屋市中村区、代表取締役社長:三吉野健滋、以下DDS)のバイオメトリクス(第一弾として指紋認証を採用)方式と、NTTサービスインテグレーション基盤研究所で開発したマルチアプリケーション対応ICカード「ELWISE−CARD」とを組み合わせることにより、ICカードを所持している本人性の特定を強固にすることで、セキュリティの高いシステム環境を実現します。なお、ICカードとバイオメトリクスとの連携方式としては、バイオメトリクス情報(テンプレートデータ)をICカード内に格納するSOC(Store On Card)方式※4を採用しています。

(1)特徴とメリット
<1> 多目的ICカード「ELWISE−CARD」の採用により、様々なICカードアプリケーションに対応
 住民基本台帳カードにも採用されたNTTサービスインテグレーション基盤研究所開発の「ELWISE−CARD」の採用により、通常32KB程度しかない他社ICカードに比べ、1MBの大容量メモリを有しているため、様々なICカードアプリケーション(PC認証アプリケーションや勤怠アプリケーションなど)と「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」を組み合わせ、セキュアなシステムを構築することが可能です。

<2> DDS社製「UB−Safe」と「周波数解析法」の採用により、どなたでも指紋の登録が可能
 指紋センサーを指でなぞるスイープ型指紋センサー「UB−Safe」を採用していることから、従来の指を置くタイプのエリア型指紋センサーと比較し、偽造指等によるなりすましを防止することが可能となります。また、認証アルゴリズムは、指紋紋様パターンをスライスした断面を波形と見なし、波形のスペクトルの系列を特徴情報として捉える「周波数解析法」を採用しており、従来の解析方法で問題となっていた、すれ指や肌荒れ指等でシステムに登録できなかった人(登録拒否率:約3%)も登録が可能となります。また、照合元となる登録データとして、指紋そのものの画像データを有しているわけではないため、仮に登録データを盗み見ることができても、個人の指紋情報を解析することが出来ないため、非常に高いセキュリティです。

<3> 指紋情報の管理に伴う費用の削減
 指紋情報は、各個人に配布されたICカードに格納されるため、指紋情報を格納した専用データベースや、データを暗号化した専用ネットワーク等を準備する必要がないことから、システム構築費の低減を図ることができます。

<4> 自社のアプリケーションへの組み込みが容易
 API(Application Program Interface)として提供しているため、自社の業務アプリケーションに容易に組み込むことが可能です。

図1:システム構成
図1:システム構成

(2)参考価格
約400万円〜(消費税込) <クライアント100台、ユーザ100名の場合>
* 自社業務アプリケーションに組み込む場合は別途開発が費用となります


3.提供開始日
 平成17年9月14日(水)


4.各社の役割
○NTT西日本
本システムの企画、開発、コンサルティング、提案、販売
本システムのネットワーク(LAN/WAN)の設計・構築
本システムの保守、運用
○NTT−CS
本システムの企画、開発、コンサルティング、提案、販売
本システムに関わる機器の調達、カード設計・発行業務の実施


5.NTT西日本グループに導入予定のソリューション事例の紹介
 NTT西日本グループは、固定電話、ブロードバンド回線等の契約者情報等の、膨大なお客様情報(約3000万加入)を有しております。これまでもICカードとパスワードを利用したアクセスなどの情報漏えい対策を講じてまいりましたが、更なる強化を図るため、顧客情報系システムにおいて、端末へのログイン、システムへのログインに対し、「バイオメトリクス対応 ICカードセキュアシステム」を導入し、情報セキュリティ対策の強化を図ります。

図2:NTT西日本グループ 社内導入イメージ図
図2:NTT西日本グループ 社内導入イメージ図

【対象システムと規模】
顧客情報系システム   端末台数:約30,000台


6.今後の展開
 両社は今後も連携を強化し、指紋以外のバイオメトリクス(静脈認証や虹彩・顔認証等)への対応や、PCログイン認証アプリケーションや入退室管理システム等のパッケージ化などの新規開発、提供を実施していきます。


<用語解説>
※1 ELWISE−CARD
  NTTサービスインテグレーション基盤研究所が開発した大容量・多目的ICカード。ISO14443タイプBに完全準拠しており、住民基本台帳カード等にも採用されている。1MBのフラッシュメモリを搭載、各種暗号化方式(共通鍵方式・公開鍵方式)に対応、1チップで接触、非接触両用のコンビネーションカードとして利用でき、セキュアに多目的用途に用いたい場合に優れている。
ELWISE−CARDは日本電信電話株式会社の商標。

※2

セキュリティサービス推進室
  高まるセキュリティ対策のニーズに対応するために、NTT西日本グループトータルで1,000人規模で設置された組織。セキュリティポリシー策定やセキュリティ監査、社員教育などのソフト的な対策から、データの暗号化や電子認証などのシステムの構築を中心としたハード的な対策まで、一貫した「セキュリティマネジメントサイクル」を構築・維持し、日々タイムリーなセキュリティ対策を提供している。

※3

株式会社ディー・ディー・エス
  最先端の情報技術に基づくマルチメディアプロダクツの研究開発を行うファブレス型ベンチャー企業。 詳細は右記へ http://www.dds.co.jp/

※4

SOC(Store On Card)
  生体テンプレート情報をICカード内に保管しておき、テンプレートと新たに入力した生体情報をICカードの外部処理装置(PC)で照合する。ICカードが照合判定した結果を用いて、正しい持ち主と判定した場合、アプリケーション駆動を行うモデル。


■各社概要
西日本電信電話株式会社
所在地:大阪府大阪市中央区馬場町3−15
代表者:代表取締役社長 森下 俊三(もりした しゅんぞう)
資本金:3,120億円
URL:http://www.ntt-west.co.jp

株式会社エヌ・ティ・ティ・カードソリューション
所在地:東京都港区南青山1−12−31
代表者:代表取締役社長 里木 勇(さとき いさむ)
資本金:1億円
URL:http://www.ntt-card.co.jp/


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