(参考資料9)

総務省情報通信審議会答申の概要


(施設設置負担金部分の抜粋)


1.施設設置負担金の見直しについての考え方
 以下のことに鑑みれば、「既に本来の意義を失い、新規加入の妨げとなり得る施設設置負担金については、NTT東日本及びNTT西日本が自らの料金戦略として、廃止も選択肢とした見直しを欲するのであれば、それは容認されるべきものと考える。」

(1)施設設置負担金の現時点における意義
契約者数が増えていた時代には、ネットワークの円滑な拡張のための資金調達の観点から一定の意義があったが、近年固定電話の契約者数が減少傾向にあり、加入者回線設備の新規投資も減少していることから、前払いの形で投資資金を調達する意味が低下してきたと言える。最近では、新規加入時にライトプランを選択するユーザが圧倒的に多いことから、加入者にとって大きな負担となっていると推測される。

(2)電話加入権の市場価格への影響について
施設設置負担金の見直しを行った場合、電話加入権市場における取引価格等に影響を与えることが予想されるが、次の点から、それを理由に施設設置負担金の額の見直しが妨げられるものではないと考えられる。
(2)電話加入権の市場価格への影響について
NTTドコモの携帯電話の新規加入料の廃止に関する裁判においても、「税法上の規定から直ちにその財産の私法上の性質を論じ得るものではない」とし、「携帯電話の利用権が一定の財産的価値を有する資産と社会的に認められていたというにすぎず、そのことをもって携帯電話の新規加入料を値下げしたり、廃止することが許されないとまでいうことは無理である」との判断が示されている。

(3)既存の加入者との公平性について
合理的な理由をもって施設設置負担金の見直しを行った結果、既存加入者と新規加入者との間で費用負担に差異が生じることは、電気通信事業法に規定する利用の公平に反する、あるいは、不当な差別的取扱いに当たるとは言えないと考えられる。

(4)競争環境の変化について
NTT東西以外の直収電話サービス等は、加入時に施設設置負担金を徴収する必要がないことから、NTT東西にとっては、競争対抗の観点から、できる限り早期に見直しを実施する必要性が高まっている。


2.見直しに当たっての留意点

○NTT東日本及びNTT西日本に対して
施設設置負担金の見直しは、NTT東西の経営判断の問題。
既存の電話加入者や電話加入権取引市場の動向、自社の財務への影響等に配慮しつつ、今後の競争環境へ対応するための自らの料金戦略として判断することが適当。
社会的コンセンサスを得るために、事前に十分な情報開示に努めるとともに、その算定根拠についても、国民の理解を得られるような十分な説明責任を果たすことが求められる。
見直しに当たっては、既存加入者や関連市場等に対し一定の配慮(例えば、十分な周知及び実施までの期間を取り、段階的に実施)を行うことが必要。
周知を始めてから廃止するまでの期間は、例えば、電話担保金融における貸付期間は概ね8割が5年以下であること、携帯電話の新規加入料の廃止は5〜6年かけて段階的値下げの末実施したこと等も参考になる。
施設設置負担金の性格等を日頃から利用者に対して説明することが必要。特に、施設設置負担金に対する誤った認識が生じないよう、ユーザに対する制度の適切な説明、職員の適切な対応への措置等に早急に取り組むことが求められる。

○関係法令の変更等(政府における措置)
施設設置負担金を見直すこととなった場合、必要に応じ、質権法等、施設設置負担金・電話加入権の取扱いに関する規定が設けられている関連法令について、適切な見直しを行うことが求められる。
非減価償却資産とされている電話加入権の税法上の取扱いについて、施設設置負担金を廃止することとなった場合には、政府は、過去の措置等も参考に、必要な措置を検討することが求められる。
総務省は、NTT東西の施設設置負担金の見直しの動向を踏まえつつ、関連法令の改正等の必要な措置について、関係機関との調整を行うことが求められる。


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