1. 業 績 の 概 況



 当中間期におけるわが国経済は、個人消費の回復感に乏しい状況が続いている中、設備投資については、情報通信関連等の成長分野への増加傾向が見られ、全般的には、厳しい状況をなお脱していないものの、緩やかな改善の兆しが見受けられました。

 情報通信市場におきましては、インターネット・携帯電話の爆発的普及、グローバル化・サービスのシームレス化の進展から世界を一つの市場とする垣根のない競争が鮮烈化するなど市場環境が急激に変化しているとともに、利用用途に合せた多種・多様なサービス提供、低価格化、更に相次ぐ地域通信市場への新規事業者の参入など、競争が益々激しさを増してきております。

 このような中、当社は低廉な料金の実現、利便性が高く魅力あるサービスの開発・提供等により、日本のIT革命に寄与し、プライスキャップ制や長期増分費用方式、優先接続の導入など厳しい経営環境に対応するため、「黒字構造への転換」「情報流通企業への変革」を経営目標として掲げ、新たな収益源の確保に努めるとともに、経営の効率化に取り組んで参りました。

 新たな収益源の確保につきましては、平成12年4月に公表した「NTT西日本の情報流通市場への取り組み」において、IP事業分野への事業ドメインの転換を打ち出し、新サービス等の提供・開発、料金値下げ、新事業の展開などを推進して参りました。

 具体的には、新サービス等の提供・開発につきましては、試験的に地域IPネットワークを介してISPに接続していた完全定額制のIP接続サービスを、5月に月額利用料金の値下げを行ない、7月より名称を「フレッツ・ISDN」と改め、本格提供するとともに、主要都市への提供拡大を実施して参りました。このほか、フレッツ・ISDNを提供している府県において、地域IP網を利用して企業のプライベートネットワークなどを安価に構築できる「フレッツ・オフィス」、企業や自治体などの複数拠点間において広域なLAN環境をより高速かつ低廉な光ネットワークにより構築できる「ワイドLANサービス」および、既存のマンションなどでもインターネット常時接続環境が容易に構築できる「インターネットマンションKIT」、簡単な設定だけで快適なインターネットができる「プチウェブ」端末など、インターネット・アクセスサービス等の充実および新商品の提供を実施して参りました。

 料金値下げにつきましては、10月1日より適用開始のプライスキャップ制に対応するとともに、今後一層のお客さま利便性の向上を図る観点から、通話区域間距離が20kmを超える県内市外通話料金の大幅値下げや、「高速ディジタル伝送サービス」および「ATM専用サービス」の料金値下げならびに割引サービスの拡大等を10月1日から実施することとしました。更に、これらの料金値下げなどと併せて、同一府県内への通話(市内通話を含む)のうち、通話料金の多い上位3電話番号への通話料金が一定額以上になった場合に、その3電話番号への通話料金を割り引く「ケンタくん」、お客さまの本支店等の複数事業所・同一事業所内ごとで、ご利用頂いた月間県内通話料金の合計額に応じて、市内および県内市外通話料金を割り引く「ワリマックス」・「ワリビッグ」など、多種多様な割引サービスも併せて10月1日から提供することとしました。

 また、新事業の展開につきましては、平成12年3月に設立したエヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社において、インターネット時代の新たなビジネスの展開に向け、ASPサービス「スマートウェア」を提供するなど、NTT西日本グループとしてASPビジネスにも取り組んで参りました。

 このように当社として、IP事業分野を中心にした新たな収益の確保に向けた取り組みを行っているところですが、これらの取り組みに合せ、業務運営体制についてもIP事業を中心とした情報流通営業体制の再構築を図るため、本社および支店の組織見直しを平成12年11月目途に実施することとしました。

 経営の効率化につきましては、平成11年11月に公表した「中期経営改善施策(平成12年〜平成14年)」に基づき、NTTグループ内の人員再配置、情報流通営業部門への再配置を行うとともに、設備投資・各種経費などの削減策を逐次実行に移して参りました。また、IT革命の推進への貢献、競争激化を考慮した料金値下げなど、今後の厳しい経営環境を展望し、経営体力の確保を図るため、平成12・13年度において希望退職を実施することとしました。

 以上の結果、当中間期における主なサービスの販売状況は、一般加入電話については9月末の施設数が2,711万加入、INSネットサービスについてはINSネット64の9月末の施設数が392万加入となり、専用サービスにつきましては、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が22万加入となりました。

 また、当中間期における営業収益は、1兆3,152億円となり、経常損失は416億円、中間純損失は310億円となりました。



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