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経験を振り返って、こう語る。  「ドクターから電話で『こういう患 者がいるが、どう思う?』と相談を受 けたときなどは、パートナーとして見 てもらえていることを実感しました。 患者さんのためを思い、他社の製品を 選択肢として提案したこともありま す。『いつも患者さんの視点で誠実に話 してくれるから信頼できる』と言って もらえるとうれしかったですね。そう した強い信頼関係を築けるのも、 私たちがスペシャリティ・カンパ ニーだからこそと思っています」  あらゆる眼科領域の疾患 を幅広くカバーする製品を提 供しているのは、世界的に見て も参天製薬を含む数社のみ。MR  参天製薬の基本理念の中核を成す 「天機に参与する」とは、中国の古典 に基づく参天独自の解釈で、「自然の 神秘を解明して人々の健康の増進に 貢献すること」を意味する。患者さん の役に立つ薬を開発し、届けようとい う思いだ。今回取材に対応していただ いた財務・管理本部 コーポレート・コ ミュニケーショングループ 広報チーム チームマネージャーの宮野由紀子氏 はこう語る。  「私たちが大切にしているのは、患 者さんがどんな悩みを抱え、何を求 めているのかを、しっかり聴くことで も眼科に特化しているため、患者さん と向き合うドクターを高い専門性に よってサポートできるのだ。  参天製薬は、日本初のプラスチック 容器の採用(1962年)など、容器 の改善にも注力してきた。緑内障な どの患者さんには高齢者も多く、点 眼容器の使いにくさは治療効果にも 影響しかねない。実際に「容器が硬く て押しにくい」といったクレームも聞 こえていた。そんな中で2002年に 生まれた革新的な容器が「ディンプル ボトル」だ。ディンプルとは「くぼみ」の こと。側面にくぼみのある形状と適度 な軟らかさにより、持ちやすく押しや すい容器を実現したのだ。  開発の過程では、医院の一隅に場所 を借り、実際に多数の患者さんに使い 勝手を試してもらうなど、あくまで患 す。医療現場でドクターと接する MRが困りごとをくみ取り、患者さ んの視点に立った製品開発につなげ る。そうした活動を地道に続けるこ とでしか、ドクターや患者さんの信頼 は得られません」  MRとは、医療従事者を訪問して 医療学術情報を提供する、製薬会社 の医薬情報担当者のことだ。参天製 薬では、約400名のMRで全国約 13000名の眼科医のほぼ全てを 担当している。他業種でいう営業担 当者に近いが、より踏み込んで、いか にして患者さんを治療するかをドク ターとともに考える役割もあるとい う。同じ広報チームの太田静氏は、数 年前までMRを担当していた自身の 者さんの視点を追求。スペシャリティ・ カンパニーのこだわりが生み出した ディンプルボトルは、「点眼容器の革 命」と大きな反響をもって迎えられた。  一方、参天製薬は患者さんへの情報 提供、特に「未治療の患者さん」に関 心を持ってもらうための情報提供活 動にも力を注いでいる。自覚症状の少 ない緑内障や網膜疾患、単なる「乾き 目」と軽視されがちなドライアイな ど、適時・適切な治療を受けにくいの が眼科疾患の特徴。まずは目に関心 を持ち、疾患について知ってもらうこ とが大切なのだ。そのために、患者さ んに役立つであろう様々な情報冊子 などを作成し、眼科医院のみならず 健康診断施設などでも配布するほ か、テレビCMや公式サイトも最大限 に活用している。その結果、次第に医 療関係者からも「参天は本当に患者 さんのことを考えているんだね」とい う声が届くようになったという。  そんな参天製薬の思いを物語るエ 数千の紙飛行機に託した 眼科医療へ懸ける思い 全国13000人の眼科医 全ての声をしっかり聴く ピソードがある。2014年4月、世 界中から2万人以上の医療関係者が 集まる国際眼科学会が36年ぶりに日 本で開催された。そこに出展した参 天製薬のブースを飾ったのは、数千の 紙飛行機。その一つひとつには、国内外 のドクターや参天製薬社員の眼科医 療に懸ける夢がつづられていた。  「ドクターの声を大切にして患者さ んの役に立ちたい。紙飛行機は、そう した私たちの願いをより遠くへ届け る.ことの象徴なのです」(宮野氏)。 時代を超えて受け継がれてきた参天 製薬の理念は今、国境を越えて世界 へと羽ばたきつつある。 あの企業が愛される理由参天製薬株式会社 めざすのは事業成長だけではなく 患者さんの役に立つ.こと 「目に関心を持ち、 知ってもらうことが何 より大切」と、眼病や 目の健康についての 様々なツールを作成 A Clear Vision For Lifeのスローガン を掲げて国際眼科学会に参加した参天 製薬のブース(2014年4月) 「くぼみ」が特徴的な ディンプルボトル 参天製薬の基本理念 目の病気で苦しむ 全ての患者さんを救いたい 患者さんの視点から 生まれたアイデアが 医療従事者との 強い信頼関係を育む 天機に参与する 肝心な事は何かを深く考え、どうするか明確に決め、迅速に実行する。 「目」をはじめとする特定の専門分野に努力を傾注し、 これによって参天ならではの知恵と組織的能力を培い、 患者さんと患者さんを愛する人たちを中心として、 社会への寄与を行う。 5 vol.12  vol.12 4