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 カルビーが提供する特徴的な商品 に、地域限定商品がある。より様々な 地域のお客様に密接な商品を提供し たいという思いで生まれているのだが、 そこに表れているのがお客様本位.の 姿勢だ。コーポレートコミュニケーショ ン本部 広報部Webリレーション課 課長の谷兼興一氏はこう語る。  「当社では商品企画を行う部隊が 本社、北海道・東日本・中日本・西日 本の各事業部にあり、地域に根ざし た商品開発をしています。各地域で 企画され限定発売したものが、全国 に広まっていくこともあります。また、 経営トップの考えとしても、『オフィス にいるより、お客様との接点である売 場に行くことがお客様本位で考える うえで重要である』というものです。 そのための拠点としても、地域事業 本部は有用に機能しているのではな いでしょうか」  そんな組織自体にお客様本位が浸 透しているカルビーの際立った姿勢を 表したエピソードがある。  2012年 11 月。同社の「堅あげ ポテト」に異物が混入したとして商 品回収を行ったが、その際、会長の松 本晃氏が最重要項目として打ち出し たのが「顧客優先― 2人目の被害 者を出さない」だった。そのために積 極的かつ迅速に情報を開示し、消費 者に回収の事実が伝わるよう、多く のメディアに取りあげてもらうことに 広報部門は取り組んだ。  通常であれば真逆の発想なのだろ うが、カルビーは違った。お客様本位 で考えた結果、トラブルの情報をより 広く提供することを選んだのだ。そ して、その方針が間違っていなかった ことは、現在の状況が物語っている。  「回収した商品であったにも関わら ず、堅あげポテトは順調に売上を伸 ばしています。全てお客様のおかげで す」(谷兼氏)  逆風をも追い風に変えることがで きたのは、お客様本位をぶれずに追 求していく姿勢があってこそだといえ るだろう。  カルビーが、徹底したお客様本位 自分たちの体裁は関係ない お客様の立場が最優先 クレームではなくご指摘.と捉え 商品をよりレベルアップさせる の追求をしていくに際しては、車の両 輪ともいえるふたつの取り組みが欠 かせない。そのひとつが、「お客様相談 室」による取り組み、もう一方が「カル ビーサポーターズクラブ(以下、カル サポ)」「Facebook」などによる コミュニケーション施策だ。  お客様相談室では、受付対応者の ことを「コミュニケーター」と呼ぶ。な ぜオペレーターではないのだろうか。 コーポレートコミュニケーション本部 お客様相談室 室長の大内肇氏はこ う語る。  「『どうしてお客様はこのようなお 問い合わせをくださったのだろうか』 と考えられる発想力、お客様の気持 ちに寄り添う.コミュニケーションが 必要不可欠だからコミュニケーターな のです。ちなみに、お客様からのク レーム=苦情.という考え方があり ますが、私たちはそう考えません。お 客様はあくまで私たちのためにご指 摘.をしてくださっているからです」  そんな思いで進められている取り 組みは、驚異的な成果をもたらして いる。カルビーでは、商品に対して何 らかの指摘(クレーム)をしたお客様 に対してアンケートを行っているのだ が、その結果、再びカルビーの商品を 購入すると回答した割合は 95 ・2% にも達するのだ。  通常であれば、問題があったメー カーの商品をその後も継続して購入 しようという発想にはなかなかなら ない。にもかかわらず、9 5・2%のお客 様に「また買おう」と思ってもらえる のは、お客様相談室のコミュニケー ターが行う対応レベルの高さによる ところが大きいといえる。お客様本 位の考えを身につけることはもちろ ん、筆記試験・ロールプレイングによ る一定以上の評価を出して初めて、実 戦の舞台に立てるという厳しい育成 制度で選ばれた、本当にお客様の気 持ちに寄り添えるコミュニケーターだ からこそ、そんな精鋭たちが、カル ビーのファンで居続けてくれる人を増 やし続けることができているのだ。  そして、このお客様相談室に寄せ られるお客様からの声は、カルビー全 体でお客様本位を突き詰める力にも なっている。「2014年から開始し たモニタリング研修では、会長・社長 をはじめとした本社社員がお客様か らの生の声を聞き、多くの気付き. を実感しています」(大内氏) “クレーム”は存在しない 全ては金言となる“ご指摘” “お客様本位”を突き詰める両輪 あの企業が愛される理由カルビー株式会社 を生み出す ご指摘対応フロー ご指摘いただいた お客様の再購入率 地域 お客様 相談室 【7地域】 工場 品質保証室 【14工場】 2時間 ルール 14日 ルール A情報伝達 @ご指摘 Eアンケート F週次で 分析 B連絡 C訪問 D報告 15分 ルール お客様 本社 お客様 相談室 ・北海道 ・東日本 ・東京 ・中部 ・近畿  ・中四国 ・九州 ・千歳 ・新宇都宮 ・東松山 ・各務原 ・綾部 ・広島東 ・鹿児島 ・ポテト帯広 ・北海道F ・清原 ・下妻 ・湖南 ・広島西 ・研究開発 気軽なつながりを求める人向けの Facebook、試験に合格した人だけが 新商品開発に参加できるじゃがり校な ど、ファン化を促進するツールが充実 「お客様相談室」は、マイナス要素を持ってカル ビーに接してきたお客様をファン化する重要部門 5 vol.11  vol.11 4