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ー舞台をはじめドラマ・映画など、 場を問わずパワフルな活躍をしてい る川平さんですが、表現者としての ルーツはどこにあるのでしょう。  物心がついたころに、家族で行って いたクリスマスパーティーまでさかの ぼりますね。このパーティーでは、「子 どもが大人の前で強制的に出し物を やる」というルールがあったのです が、僕は嬉々としてやっていました。 「ヤンバルクイナが苦いゴーヤを食べ てビックリしているモノマネ」とかね。 普通の子どもならいやがったので しょうが、僕は「よしきた! 今年は何 をやってみんなを沸かせてやるか?」 と考えるタイプでした。  また、僕に流れる血にも理由があ ると思っています。父はアナウンサー ですし、父方の叔父はダンスをやって いる人です。僕が人前で何かを表現 することを生業としたのには、その DNAが大きく影響しているような 気がします。人前で何かを演じるこ とによって、DNAレベルで快感を感 じるようにできているんでしょうね、 僕は。 ー生まれついての表現者だったの ですね。それを聞いて、周りをグイグ イ引き込むパワフルさの理由がわ かった気がします。そんな川平さん にとって、表現者としてのターニング ポイントはいつだったのでしょう。  それは、坂東玉三郎さんとの出会 いです。玉三郎さんが演出をされた 『ロミオとジュリエット』という舞台 に出演したのですが、当時の経験は、 今も僕の中で一本通った柱になってい ます。「演劇とは何か」「伝えるとは 何か」という、根幹の部分をすごく 考えさせられたんですね。  その根幹が何かというと、愛.なん です。愛がなければ、舞台は成り立た ないと。言葉にすると軽くとられがち ですが、この愛というのは、love. はもちろん、リスペクト.も込められ たものだと僕は考えています。 ーリスペクト.というのは、具体 的にどういうことなのでしょうか。  携わる作品への愛、共演者への愛、 スタッフへの愛、そして自分への愛。つ まり、全ての人やモノに対して敬意 と感謝の気持ちを持って接するとい うことです。僕は、自分が出演する舞 台では「パワータイム」を設けて、支え てくれる共演者・スタッフ、そして観 客への感謝などを再確認し合うため に円陣を組みます。もう、 20 年近く 続けていますが、そんな日々の積み 重ねこそが、今の自分を作りあげて きたんだって信じています。 ー何ごとに対しても感謝の気持ち を忘れないことが、多くの人の心を 響かせる演技、表現につながっている のですね。  見てくれる人、聴いてくれる人、そ して携わる全ての人へのリスペクト なしには、響かせる何かを生み出す ことはできないと思っています。  たとえば、永六輔さんや小林克也 さんのラジオ番組での表現って、すご く柔らかくて優しいし、リスナーをは じめ、全ての人たちへの愛に満ちてい る。僕は、それこそが何かを伝える際 に絶対に欠かしてはいけないことだ と思うんですよ。  それともうひとつ、アクセプト.。 どんなことでも受け入れることは大 事です。たとえば、舞台を前に極度の 何を伝えるにも欠かせない 全ての人・モノへの“リスペクト” がないと、 舞台は成り立たない 敗を乗り越えようと発揮 するパワーが人の心に響く “響く”顧客コンタクトの演出 愛 失 ビジネスを円滑に進めるうえでは“ 心に響かせ、印象的な顧客コンタクトを演出” することが重要になる。だが、相手の心を響かせ、自社の存在を際立たせること は容易ではない。そこで、表現者として様々な舞台などで多くの人を魅了する、 俳優・川平慈英氏に相手の心を響かせるための妙技を聞いた。 俳優 15  WINTER  WINTER 14