1928年の創業以来、数々の食 肉加工品を提供し続ける伊藤ハム 株式会社。「事業を通じて社会に奉 仕する」を社是として掲げ、人々の 食生活の向上に貢献し続けている企 業だ。さらに、地球環境への配慮、社 会貢献活動や食育活動などの分野 においても、積極的な活動を続けて いる。 　管理本部 広報・IR部 部長の細 見忠氏はこう語る。 　「わが社のコアになっているのは、高 級食材だったハムを��多くの人に食べ てもらいたい.と考えた、お客様あ りきの心。その思いは、誰でも手軽 に食べられる、安くておいしいハムを 作りあげたものづくりのDNAと 共に、今日まで受け継がれているの です」 　そのDNAを体現しているのが、創 業から55周年の節目である1983 年に導入したCI（コーポレート・ア イデンティティ）。「健全な生活の基礎 となる『食べる』ことの喜びや楽しさ、 大切さを伝えてまいります。」という ミッション、「Creative（食文化 を創造し続ける・クリエイティブ）」 「Communication（あたた かみのあるコミュニケーション）」 「Challenge（新たな挑戦・ チャレンジ）」の3つからなる企業姿勢 ��3C.にある。 　この企業姿勢は、同社の技術と共 におもてなしの心が連綿と受け継が れることで、常にお客様ありきでの 発想が生まれる風土があることも物 語っている。 “ 食べてもらいたい ” という思いが響く 連綿と受け継がれる ものづくりのDNA 響かせる極意 　優れた技術はもちろん、お客様対応 にも特筆すべき点が多い伊藤ハム。そ のひとつが、お客様との接点の創出だ。 　同社は、FacebookとGREE で公式アカウントを取得。そして、ソー シャルメディア活用の基軸として、「ハム 係長」というオリジナルキャラクター を設定している。 　ハム係長による投稿の特長は、「突っ 込みやすい」ことだ。たとえば、暑い夏 の日にもさっぱりと食べられる料理の レシピ、夕方早くに酔っぱらってしまっ たハム係長の画像など、読んだ人が共 感し、いじりたくなるようなコメント を投稿。自社のファンはもちろん、よ り多くの人のためになる情報を発信 したいという心遣いが、一つひとつの投 稿の根底にはある。 　その結果、Facebookで5万 7000人のファンを獲得。投稿に関 しては、一投稿につき2000件以上の 「いいね！」がつくこともまれではない。 　「重要なのは、即売り上げにつなげ るという話ではなく、ブランディング を行うという点。ソーシャルメディア によるお客様とのコミュニケーション は、LTV（Lifetime Value：顧客生 涯価値）を高めていくうえで、非常に 大事だと認識しています。だからこ そ、ソーシャルメディア上での対応はブ ランディングに直結するものとして重 要です。お客様がどんな情報を求め ているのか、どんな情報なら共感して もらえるのかを考えつつ、もらったコメ ントには迅速にほぼ全て返信するな ど、お客様目線での情報発信をして いくという考え方で、Facebook などの運用を行っています」（管理本 部 広報・IR部 IR・Web広報室 担当課長 関澤昌弘氏） 　ちなみに、こんなエピソードもある。 ハム係長には、バレンタインデーなどに チョコレートやお菓子が届くのだとい う。ハム係長の対応、ひいては「あたた かみのあるコミュニケーション」を掲げる 同社の企業姿勢が、お客様の心にどれ だけ響いているかがうかがえる話だ。 読んだ人の共感を得て ��いじってもらう. 1992年伊藤ハム入社、 43歳。入社と同時に東 京支社勤務。現在は、 SNSを使った広報業務 を担当。趣味は料理、特 技は野球（リトルリーグ時 代は4番でエースだった）。 ハム係長の部下。 結構きわどいこと もズバッと聞く大 胆さを持っている。 とても食いしん坊。 ハム係長の名刺。今は、ソーシャル メディア内での活躍がメインだが、 徐々に活躍の舞台を広げていく話 もあるのだとか。 ハム係長の ココが いいね! 伊藤ハム株式会社 ハム係長 アサノフレミ Facebookファン数が 約3年で5万7,000人に! 開始から50日目には約3,000人 だったファンが20倍近くに！ 見る人を飽きさせない! 酔っぱらい、武士、野球バージョン などのバリエーション豊かな姿、月 替わりのトップページの画像などで ファンを楽しませることを忘れない コメントは、 ほぼすべて返信！ 100件以上のコメントに も全部返信！ 「ハム係 長の徹底した全レスっ ぷりが凄い件」と、I T ジャーナリストのブログ に取りあげられたことも どんな質問にも返信！ 何を聞かれても答える、 コンシェルジュ顔負けの 対応が売り 「いいね！」が3,000オーバー 伊藤ハム商品を使った季節のレシ ピや、ウインナーの飾り切りなど、見 る人のために！という思いを込めた 投稿で、多くの人の共感を呼ぶ お客様に対し、自社ホームページ 上ではオリジナルレシピや飾り切り などの情報を発信し、Facebook 上ではハム係長が双方向コミュニ ケーションをとっている。 5 　AUTUMN 　AUTUMN 4